アトピー性皮膚炎患者の患部で黄色ブドウ球菌が多数検出されることが報告されており、これらの黄色ブドウ球菌がアトピー性皮膚炎の増悪因子として作用している可能性が示唆されている。そこで、黄色ブドウ球菌を消毒しスキンケアすることによるアトピー性皮膚炎の療法がある。ステロイドを外用しても効きが悪くなる「ステロイド抵抗性」 のケースで有用である。
黄色ブドウ球菌はグラム陽性の通性嫌気性の真正細菌であり、培養コロニーが黄色に見え、顕微鏡で見るとブドウの房状をしているため黄色ブドウ球菌とよばれる。人体の手指や毛穴、鼻腔内に常在する常在菌であるが、健康人ではその数は多くない。6.5~46℃の広い温度範囲で増殖し、30~37℃が増殖の至適範囲である。また、増殖可能pHはpH4.2~9.3であり、至適増殖pHは7.0~7.5である。 高濃度(7.5%)の食塩水[25]中でも増殖でき、乾燥に強く、環境の変化に強い。また、菌が免疫系によって排除されることを防ぐ働きを持ち、伝染性膿痂疹(飛び火:とびひ)や化膿、食中毒の原因になる。感染力は強い方である。
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雪印集団食中毒事件は黄色ブドウ球菌が産生した毒素エンテロトキシンが原因とされる。黄色ブドウ球菌は、低温殺菌(63度で30分間加熱殺菌)で死滅するが、エンテロトキシン毒素は100度で30分加熱しても毒性を失わず、体内でなかなか分解されない。エンテロトキシンは、ng(ナノグラム)単位の非常に微量で毒性を持つ。
黄色ブドウ球菌による疾患の治療には抗生物質が使われるが、MRSA、VRSAも報告されている。